SPIS研究所は、2018年(平成30年)、精神障害者雇用義務化の年に、一般社団法人として創設されました。主な事業内容は、精神・発達障害者の就労定着を支援する専門家、ならびに企業(職場)担当者を育成することにあります。
これまで、わたしたちは精神・発達障害の方の就労定着に取り組んでまいりましたが、活動のきっかけは精神・発達障害の方が就労後一年以内に6割以上も辞めてしまうことにありました。とりわけ大きな問題は、退職する障害者の多くの方が「自分はやっぱりダメなんだ」という思いに回帰していくことでした。
この問題に立ち向かうため、わたしたちはSPIS(エスピス)という枠組みを使って、当事者の方と、そして職場の担当者の方とも、ともに悩み、苦しみながら、「もううつむかなくていい。もうこれ以上、自分を責めなくていい。背負わなくていい」という思いを伝えてきました。2013年SPISが始動して以来、当事者、企業、支援機関の方々からたくさんの賛同の声をいただき、就労継続に及ぼすSPIS効果に大きな手応えを感じています。
この活動を通じて、わたしたちが学んだことは、就労定着がうまくいくかどうかは、実は障害者の問題というよりも、支援する企業(職場)担当者や外部相談員の関わり方のほうが大きいのではないかということでした。ここにSPIS研究所設立の原点があります。
今後、SPIS研究所は、精神・発達障害者の就労定着のみならず、ひろく対人援助にかかわる専門家、ならびに企業(職場)担当者の育成を視野に入れて努力を積み重ねてまいります。今後ともご支援のほど、よろしくお願いします。
一般社団法人 SPIS研究所
理事長宇田亮一
「SPIS(エスピス)」は、Webシステムを利用して精神・発達障害のある従業員、雇用企業の職場担当者、外部支援者であるSPIS相談員の三者が連携する支援のプラットフォームです。このプラットフォーム内で当事者である従業員は自身の心身のコンディションを日々発信し、職場担当者とSPIS相談員がその情報をリアルタイムで共有し、当事者の自己コントロール力や発信力、職場における当事者サポート力を向上させるべく、システム内の対話を通じて相互に働きかけます。
私たちSPIS研究所は、このシステムツールである「SPIS」を最大限効果的に活用するために、SPIS相談員の養成研修とスーパーバイズ、「SPIS」をご利用いただく企業の職場担当者への研修、および「SPIS」活用モデルの開発や導入事例の調査研究等を中心に活動してまいります。
2018年度には障害者法定雇用率が引き上げられ、精神・発達障害者である当事者の就労の場は、ますます広がりを持つとともに、働き続けたいという当事者の思いは、より強いものになっていきます。
精神・発達障害者である当事者が、安心かつ安定して働き続けるためには、職場担当者が、当事者をどのように理解し、どのように支えていくか、そしてこの二者関係を外部支援者であるSPIS相談員がどのように支援し見守っていくかがとても重要であると考えます。さらにはこの三者が日々の「SPIS」でのやり取りを通じて、連環しながら対話する力を育んでいくことが、当事者が働き続けるためには不可欠であると考えます。
SPIS研究所ではこうした力をさらに一層高めるべく、多くの事例の調査研究を積み重ね、様々な講座や研修を通じて、当事者の気持ちにより深く届く関わり方を、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
また今後は精神・発達障害者の就労継続支援のみならず、様々な領域における当事者の孤立化を防ぐためのネットワークやコミュニティの構築にも、「SPIS」が寄与していくものと考えております。
私たちは、「SPIS」を通じて当事者に寄り添い、当事者から学ぶ謙虚な姿勢を忘れずに、「SPIS」を真に役に立つものとして担っていただける方々と一緒に、前進していきたいと考えています。
今後とも、皆様の変わらぬご支援とご協力をお願い申し上げます。
一般社団法人 SPIS研究所
所長橋倉 正
一般社団法人 SPIS研究所
精神・発達障害者が産業組織の中で長く働き続けることを願い、
精神障害者就労支援システム“SPIS”の社会への普及を目的とする。
2018年1月11日
理事長 | 宇田 亮一 |
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専務理事 | 山崎 昇 |
理事 所長 | 橋倉 正 |
理事 SPIS研究担当部長 | 宮木 孝幸 |
理事 | 吉野 敏博 |
監事 | 横溝 治行 |
なお、宇田、橋倉、宮木は、SPIS相談員の活動と共に、心理臨床ネットワーク アモルフでカウンセリング活動を行っている。
所在地 |
〒150-0011 東京都渋谷区東2丁目22-10八島ビル2F |
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電話番号 | 03-6427-7717 |
FAX番号 | 03-5778-4138 |
交通アクセス |
JR渋谷駅南口改札口から徒歩約10分 |
利用者のセルフチェックを起点にし、職場の上司・同僚との本音の対話を通じて関係強化を図り、心が通うチーム、成果のあがるチームづくりを目指します。
精神・発達障害者だけでなく、一般勤労者(メンタルヘルス不調者)もサポート対象にしています。
外部支援者と職場担当者の育成のため、各種セミナーの開催とスーパーバイズ(SV)による個別人材のサポートを行います。
これまでにSPISを導入した企業・行政機関(2013年~2019年導入)において、わたしたち(SPIS研究所)が直接、サポートしたのは43社、利用者数80名で、利用者の方のSPIS導入1年後の就労定着率は92.5%です(2020年7月現在)。
上記の実績は、わたしたち(SPIS研究所)が直接、外部支援者としてかかわったケースと、他機関の外部支援者のスーパーバイザーとしてかかわったケースとの合計数です。これ以外の活動としては、SPISによる就労定着支援機関のサポートや休職・復職者のサポートなどを行っています。
島津製作所、内閣官房人事局、全国土木建築健康保険組合、まるみ、NTT情報ネットワーク総合研究所、電通そらり、コクヨKハート、帝人ソレイユ、中電ウィング、テクノイケガミ、日東精工、オムロン京都太陽、ヤマコー、夢屋など
*企業・行政機関 43社(就労支援機関を除く)
全国精神保健職親会(毎年、東京・大阪などで実施)、各企業内セミナー(多数)
障害者就業・生活支援センターTALANT、都立多摩総合精神保健福祉センター、かながわ精神障害者就労支援事業所の会、神奈川労務安全衛生協会鶴見支部、わかくさ福祉会、全国精神障害者就労支援事業所連合会、世田谷区障害者就労支援センター、葛飾区就労支援ネット、国立精神・神経医療研究センター、京都障害者雇用企業サポートセンター、大阪府商工労働部雇用推進室、東京都精神障害者就労定着支援連絡会(城東圏域)、若年勤労者の自殺対策ワークショップ、埼玉県福祉部障害者就労定着支援研修会、さんぽ会、長岡記念財団、全国就業支援ネットワーク、全国土木建築健康保険組合、総社市・総社市社会福祉協議会・総社市障がい者千五百人雇用センター、金沢市精神障害者社会参加促進協議会